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2023/11/23
健康の大切さを伝え続ける|宮田俊男
医療法人社団DEN みいクリニック 理事長
1975年生まれ。渋谷区本町出身。早稲田大学理工学部卒業後、大阪大学医学部へ編入。卒業後は医療機関や厚生労働省に勤務。2013年に渋谷区内の『伊村診療所』を引き継ぐこととなり、宮田の「み」と伊村の「い」を掛け合わせた『みいクリニック』を開院し、現在に至る。趣味は、地元渋谷区に住む仲間のお店巡りと、母校早稲田大学のスポーツ応援。よしもと文化人にも所属。
想いを引き継ぐクリニック
今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。
医療の道に進むきっかけは“くじ引き”です。早稲田大学理工学部は、研究室を選ぶ際にくじを引いて、それぞれの進む道を決めていました。『車』や『航空機』づくりに関わることを希望していたものの、私が引いたのは『人工心臓』の研究室。当時の人工心臓は、アメリカの研究が最も進んでおり、モノづくりが得意な日本が、なぜこんなにも出遅れていて、一般に普及していないのだろうと、研究室に入ってすぐに疑問を持ちました。そこから医療に強い興味を持つようになり、早稲田大学卒業後に大阪大学医学部へ編入。卒業後は心臓外科医となり、再生医療や人工心臓の研究と普及に取り組みました。外科医として様々な病院で手術を行う一方、大学の教壇に立ち後進の育成に携わっていたとき、地元渋谷区本町にあった『伊村診療所』が後継者不足により診療所を閉めるとの話を耳にしました。ここは小児科や内科があり、私自身はもちろん家族も通っていた思い出の多い診療所。伊村先生の娘さんから「存続のために力を貸してもらえないか」と声をかけていただいたときには悩みました。しかし、国立がん研究センターなどの病院運営アドバイスをしていた経験もあり、経営の勘所に関する知識を持っていたこともあり、思い切って診療所の存続を引き受けることを決意。宮田の「み」と伊村の「い」を掛け合わせた『みいクリニック』を開院しました。伊村診療所にあったベッド、体重計、診察の椅子などを持ち込み、今の事務長さんと2人でのスタート。今では移転して規模が大きくなり、引き継いだ機器などはほとんど残っていませんが、聴診器だけは今でも伊村先生から引き継いだものを使っていますよ。
仕事の特徴は、どのような点にありますか?
子どもから大人まで、家族を丸ごと診療できるように、小児科・内科・皮膚科・アレルギー科・心療内科など、さまざまな領域に対応しています。コロナ前からオンライン診療に取り組んでいたことは、当クリニックの特徴の一つです。結果的に、行動制限のある中でも診療を続けることができました。現在のオンラインとリアルのハイブリッド診療に繋がっています。また10年前には、自分の健康に関心を持ち、病気の兆しに気づいてもらうための無料アプリ『健こんぱす』を開発。ネットに様々飛び交う情報の中から、自分に合ったものを選びにくいという患者さんの声に応えて、身体の変調をチェックしていくだけで、医師の見解による市販薬・ヘルスケア用品案内のできるサービスを提供しています。診察室で待っているだけでは、病気の兆しがある人へ注意を促すことはできません。症状が悪くなる前に「もしかしたら医療機関に行った方が良いのでは?」と本人に気づいてもらう必要があるのです。例えば、ただの便秘だと思っていた症状の中に、大腸がんのリスクが隠れているケースもありますから、変調を感じたらかかりつけ医へ相談することをおススメします。厚生労働省で勤めていたこともあり、他の医療機関との連携がスムーズにできることも特徴ですね。慶応病院や国立がんセンターなど、症状に合わせて専門医のいる医療機関をご紹介しています。
誰でも相談できるハイブリッド診療
どんな患者さんからのご相談が多いですか?
今でも『伊村診療所』をかかりつけにしていた患者さんがいらしてますね。コロナ禍では、オンライン診療への対応が遅れていた近隣の病院やクリニックに通う患者さんからのご相談が多くありました。実は開院した当初は、1日3・4人しか患者さんがいない日もあったのですよ。月曜日から土曜日まで毎日診察をしていたことや、渋谷区の国民健康保険による健康診断を扱うようになってからは、だいぶ顔も覚えてもらえました。最近では、街を歩いていると「みい先生!」と声をかけられるのが嬉しいですね。また、企業の産業医も務めています。近年、健康に対して企業が投資を行い、従業員の労働生産性の向上を図る“健康経営”が注目されていることから、お声掛けいただく機会が増えました。“こころの風邪”と表現されることの多い、低調な気分の波が続く状態をケアする、メンタルヘルスケアも仕事の一つ。軽い変調があったときに速やかに対処することで、退職者を抑えることができます。退職者が半減した会社もあるのですよ。その他にも、オンライン診療だけで話していた人が、実際に会いたくなりクリニックへ来てくれることもありますね。これからも誰でも気軽に相談できるリアルとオンラインのハイブリッド診察を進めていきます。
仕事をするうえで、心掛けていることを教えてください。
各自が自分自身の健康について意識できるよう、みなさんの“ヘルスリテラシー”を高めたいと考えています。特に30~40代にかけては、食事と運動をしっかりしていなければ、将来病気になりがちです。健康を意識することは本当に大切なので、これからも積極的に伝えていきたいですね。実は芸人さんとの対談したことがきっかけで、吉本興業の文化人タレントとしても活動しています。芸人さんを呼んで、分かりやすく健康や医療について学ぶ『笑来塾』というイベントを主催していますので、みなさんも是非お越しください。また、東日本大震災のとき被災地へ足を運び、地域全体で住民の健康を守る医療体制である“地域医療”の大切さを強く感じました。ちなみに『みいクリニック』のロゴは、手と手を取り合う様子をイメージしています。医師と患者さんが、フラットに話のできる関係性を持ち、地域の人の健康を守り続ける医療機関でありたいですね。繰り返しになりますが、自身で健康を意識することは、長い人生を生きていくうえで非常に重要です。身体の変調を感じたら、かかりつけ医へ是非ご相談ください。もちろん、私にご相談いただいてもかまいません。
インタビュー後記
“くじ引き”によって医師になった宮田さん。機械の開発から離れたように思えたが、現在は次世代救急車のプロジェクトから声が掛かり、車の開発を支援しているというから人生は面白い。オンライン診療、アプリ開発と、常に業界の最先端を走る宮田さんが、地域医療を意識して現場にいてくれるだけでありがたい。かかりつけ医を持つ人であっても、セカンドオピニオン的に受けられるオンライン診療はおススメだ。
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