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2024/08/04

鉄道車両の快適・安全を担う|ピーター キム

クノールブレムゼ鉄道システムジャパン株式会社 代表取締役

クノールブレムゼ鉄道システムジャパン株式会社 代表取締役 ピーター キムさん

1970年、韓国生まれ。1997年に来日。シンガポール、韓国で働いた後、グローバル企業の日本法人に営業マネージャーとして転職。2020年に「クノールブレムゼ鉄道システムジャパン株式会社」の代表取締役に就任。韓国語、日本語、英語、中国語の4ヶ国語を話す。趣味は妻と車の旅&車中泊。

広い世界で活躍したい!

今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。

韓国の大学を卒業するとき、日本に住んでいた姉から声をかけられ、日本語を勉強するために来日しました。勉強の一環で『ゆりかもめ』に乗ってお台場へ行ったとき、目の前に広がる未来都市を見て「スター・ウォーズみたい!」と、とても驚きました。夜景も本当にキレイで、とても印象深かったです。それまで自分は“ローカル”な人間で、いずれ韓国に戻り、ひっそり国内で暮らすだろうと考えていたのですが、この経験により180°考えが変わりました。家に帰るころには世界で“グローバル”に活躍したい!と考えるようになっていたのです。しかし、仕事の方はそう上手くはいきませんでした。来日した1997年、韓国が通貨危機に陥ったことで、自国の多くの企業で採用がなかったのです。それでも、夢の第一歩を踏み出すため、友人の力も借りて英語のレジュメを作り、グローバル企業のシンガポールの拠点で採用してもらいました。求人には「日本人と韓国人の2名を採用予定」と書いてありましたが、日本語と韓国語の両方を話せる私が入社したことで、2人目が採用されることはありませんでしたね。その後、韓国、アメリカ、ドイツの企業で営業職として活躍。そこでの実績が認められ、2016年には線路の保守・メンテナンス用車両(保線車両)を製造・販売するグローバル企業にて日本法人の代表となりました。日本での生活と経験が長くなるにつれて、外国のメーカーが日本で成功するために必要なものが分かり、より効果的な経営判断ができるようになりました。その様子を見ていた現在の会社(クノールブレムゼ鉄道システムジャパン)から声をかけられ2020年に日本法人の代表取締役へ就任しました。25年以上前に、お台場を見て決意し、心の中で膨らませていた“グローバルに活躍する”という自分の夢が実現できて、本当に嬉しいです。

仕事の特徴は、どのような点にありますか?

弊社は、鉄道会社を裏側から支えている会社です。主に鉄道車両のブレーキや空調などの車載システムを提供しています。山手線新幹線などにも採用いただいており、意外とみなさんが身近に利用しているものの一部が、弊社の商品ということは多いと思いますよ。オイル漏れのない「オイルフリー・コンプレッサー」は主力商品の一つです。  給油・更油・排油作業がなく、油漏れを解消し、油の保守/交換作業を無くすことができます。多くの鉄道会社から支持を得て導入いただいています。弊社は1905年にドイツのベルリンで創業した “クノールさんのブレーキ”会社です。(現在の本社はミュンヘン)世界中に3万人の社員がいて、30ヶ国、100ヶ所以上の拠点があります。海外に拠点があることで、日本の車両メーカーの作った車両が海外に納車された後も、弊社のシステムについて、メンテナンスなどの迅速なアフターサポートが可能なため、多くの海外案件に採用されています。  また、グループには、トラックやバスなどの商用車向けのシステムを開発・販売・保守している部門もあります。売上は世界全体で1.2~3兆円ほど(円換算にて)。

鉄道会社を裏側から支える

どんなお客さまが多いですか?

グローバルな市場では、車両を作るメーカーがお客さまになるのですが、日本では鉄道会社がお客さまとなります。世界の鉄道事業社やメーカーは国際標準化の流れにのっとり、多くが国際規格を採用していますが、日本では、それぞれの車両の仕様を鉄道会社が決めているため、都度調整が必要です。他社製品と組み合わせて使われることも多いため、細かい調整も必要となります。それでも現在では、北海道から九州、通勤車両は勿論、客車から貨物列車まで、多くの車両でご採用いただいています。日本の鉄道車両市場において、ここまで本格的な成功をおさめた海外企業はありません。正直、全世界で実績のあるクノールブレムゼのブレーキシステムを、“システム”として日本でも採用していただければと思うこともありますが、ココは弊社システムの良さを積極的にアピールするなど営業努力を重ねて行きたいところですね。現在の仕事は、国内向けと海外向けが大体半分といったところです。

仕事をするうえで、心掛けていることを教えてください。

鉄道業界も確実にIT化が進んでおり、今後必要とされるソリューションについて常に検討しています。クノールブレムゼではDXを視野に入れたシステム開発を進めており、最先端のデジタルソリューションを搭載したブレーキシステムを提供できる機会が増えれば嬉しいです。  さらに弊社では、車両のドア空調システムについても事業拡大を狙っております。  一つの車両に対して、より多く関りを持つことで、車両全体のさらなる効率化のお役に立ちたいですね。また、代表取締役に就任するにあたり、社員のみなさんに温かく受け入れてもらえたことには感謝しかありません。社内の先輩方にサポートしてもらいながら、これからも目標をクリアし、グローバルな展開をしていきたいですね。

インタビュー後記

日本に住み、台湾で生まれた妻を持ち、ドイツの会社で働く、韓国人のピーターさん。“グローバルに活躍する”という願いを、より大きく叶えていくため、これからも人生のアクセルを踏み続けていく。

お問い合わせ

名前:クノールブレムゼ鉄道システムジャパン株式会社
店舗:東京都新宿区西新宿6-10-1日土地西新宿ビル7F
電話:03-3346-2620

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