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2024/08/23
0歳~100歳までみんなの笑顔を育む支援|星野二郎
株式会社スター・フィールド 取締役会長
1969年、渋谷区生まれ。芸能事務所で付き人として、被災地での炊き出しや少年院の慰問などを経験する中で、障がい者へのサポートが後回しになっている現状を目の当たりにする。40代となり、自身の子どもが待機児童問題に巻き込まれたうえ、親の介護に関わる当事者となったことで、これらの社会課題を解決したいと一念発起。2014年に株式会社スター・フィールドを起業。『療育』『保育』『介護』の3つの柱を持ち、東京・千葉・神奈川で13事業所を展開している。趣味は御輿担ぎ。
日本初の療育・保育・介護の複合施設に挑む
今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。
実体験が起業の原点です。子どもが産まれたとき、ちょうど保育園の待機児童が増えていることが問題となり、大きくメディアで取り上げられているタイミングでした。何とか子どもは、地域の保育室で預かってもらうことができたのですが、同時に親の介護と認知症が始まったため、本当に大変でしたね。朝、子どもを保育室に送り届けた後、会社に向かうものの、その通勤中に親の介護施設から電話がかかってきて「親御さんが、もう家に帰りたいと言っているので迎えに来てください」と言われ、慌てて会社に連絡をいれたこともありました。当時は、落ち着いて仕事をすることは全くできませんでしたね。自分がこれだけ困っているのだから、きっと周りにも同じように困っている人がいるのだろうと考え、「これはどうにかしないといけない!」と強く感じるようになりました。また、当時は芸能事務所で付き人の仕事をしていましたが、被災地の炊き出しや、少年院の慰問に同行したとき、障がい者へのサポートが行き届いていない様子も目の当たりしました。これらの社会課題を自分の力で解決しようと決意したことが、起業のきっかけですね。まず手始めに、千葉県内で保育園を開始。とはいえ、最初は人手が足らなかったため、自ら食品衛生管理者の資格を取り、1年以上、給食を作っていましたね。そこから10年、現在では首都圏に13事業所、パートやスタッフなど90人を抱えるところまで仲間を増やすことができました。仕事の特徴は、どのような点にありますか?
業務は『療育施設』『保育園』『介護事業』の3つが軸です。『療育施設』のなかには“子ども”という大きなくくりで施設を設けていることが多く、1つの施設内に、障がいを持つ幼稚園児~中高生までが、一緒になって支援を受けていることが少なくありません。しかし、それでは、子どもそれぞれの成長に合ったサポートが難しいと考え、弊社では年齢に応じて施設を分けています。支援が必要な子どもが、なるべく寂しい想いをすることなく、1分でも多く笑顔が見られるような施設を目指しています。また現在、日本で初めてとなる『療育』『保育』『介護』の3つを1ヶ所にまとめた施設を、埼玉県に計画中です。実はこの企画を考えたのは、創業した10年前。当時、東京都へアイデアを持ち込みましたが、管轄や部署をまたいだ判断をもらうことができず、進められませんでした。時代とともに社会情勢も変わり、少子高齢化が顕著になってきたからこそ、進めることができています。この施設では、保育を受ける0歳から、介護やリハビリを受ける高齢者までが、同じ屋根の下で暮らす予定です。医療施設も併設するため、子どもから高齢者まで安心して過ごしていただくことができます。また子どもは、近年失われがちな高齢者との接点が増えることで、多様な価値観を感じ取り、高齢者は若い方と話すことで認知症予防にもなります。そのうえ、スタッフは共通の資格やスキルを持っていることも多いため、1人で2~3役をこなし、その分、スタッフの給与を上乗せして支払うこともできるため、3者が一緒に過ごすことは、非常にメリットが多いのです。
600家族とのワクワクする日々を
どんなお客さまが多いですか?
療育、保育、介護の13事業所で、約600家族と関わっています。また、私たちは、本社&事業所のスタッフ&お子さま&保護者など、事業に関わる人を全てまとめて“仲間”と呼んでいます。ここ数年は、毎年大田区の小学校のグラウンドを借りて、仲間を集めた『夏祭り』も開催しているのですよ。直近では、区長さんなども含め500人以上が参加してくれました。その他にも、年に1度の『異年齢交流会』や、年に数回の『保護者勉強会』なども企画しています。療育も保育も介護も、家族や周りの人の協力が欠かせません。もちろん、お預かりしている間は、スタッフが全力で気を配りますが、自宅に帰られたあとにも、周りの人には見守っていて欲しいのです。そのためにも、定期的な情報提供は欠かせませんね。
仕事をするうえで、心掛けていることを教えてください。
スタッフには、常にプロ意識をもって仕事に関わるよう声をかけています。親御さんに「ココなら大丈夫!」と思っていてもらい、料金や距離だけでなく、人で選ばれる施設でありたいですね。そのためにも、自分たちのスキルアップも欠かせません。業界制度や法律を理解したうえで、利にかなった選択を取れるよう、月に1回は必ず勉強会をしています。その他、私自身も、毎日必ずどこかの現場に入るようにしています。「児童全員の顔と名前が一致するのは自分だけ」ということが、密かな自慢です。現在、計画が進んでいる『療育』『保育』『介護』の3つを集めた施設は、これまでの活動の集大成となるもの。さらには、外側の部分だけではなく、内側にもふんだんにアイデアを盛り込んでいく予定です。実は海外の支援施設は、イベントの企画や関わり方に面白いアイデアが数多く採用されており、毎日の生活にワクワクが詰まっています。日本では、法律による制約や、自治体から許認可を取ることの難しさから、何でも自由にサービスを提供するということはできませんが、少しずつワクワクを盛り込んでいきたいですね。将来的には、東京、千葉、神奈川でも、同様の施設を建てたいと考えています。生産緑地など、土地の有効活用をお考えの方、是非お声がけください。相続対策にもなるうえ、地域のみなさまからも感謝される施設を作ることができます。これからも、0歳から100歳を超える方まで、幅広い世代の人と関わりつつ、みんなの笑顔を育む支援を続けていきます。
インタビュー後記
利用者にとって、より良い環境を作ろうとするたび、自治体や制度の壁にぶつかったと話す星野さん。その都度、話し合いを重ねて、壁を乗り越えてきた。その集大成となる3事業の合同施設がいよいよ始まる。星野さんの挑戦は、少子高齢化が進む社会の中で、ますます注目を集め、いずれ業界内の一番星になるだろう。
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